Dr.が薦める自立健康のススメ

Vol.1 白血球はどうして自分の役割を知っているのか?

この連載では、私たちが健康に生きていくために一番大切なことについて田中佳先生に語っていただいた内容をご紹介していきます。

<田中先生からのメッセージ>
「健康を考えて、本質を追及した結果、医療は病気への対処だけであって、健康になる手段が存在しなかったことに、
医療を行いながら気付いてしまいました。ショックでした。ゆえに、ただ病院に通い続けても健康になることはないのです。まずは生命の神秘に感動してほしいと思います。神業ともいえる体の仕組みを知り、生きていることの感動を
味わえば、自分がもつ潜在能力を信じざる得なくなるでしょう。」
 



―自分の病は医療でなく自分自身が治すのだと田中先生はおっしゃいますが、どうしたら心底そう思えるのでしょう?

一般の人に解剖学を教えるために、改めて教科書を読み返したことがあって、免疫を司る自分の白血球の種類の多さと
それぞれの役割の違いを眺めていて、ふと「なんでだ?」と疑問が涌いてきたんですよ。
まずこの時の感動を共有してもらうことから始めましょうか。

―はい、お願いします。疑問が涌いたってどういうことでしょうか?

解剖学の教科書的には、ひとつの増血幹細胞から、ありとあらゆる白血球ができるんですよ。
赤血球もね。そして、できた白血球たちそれぞれの役割が全員、違うわけ。
じゃあ、どこからその指令を受けたの?これが、まったくわからない。
昔、血液内科専門医にも聞いたことがあるんだけど、なぜ白血球は異物を知ってて、異物を食べるのって聞いたら、
「ん~、神のみぞ知る、だな」って言うんですよ。

―専門医でも、白血球のことがわからないんですね。

それが前提なんだよね。「その前提は何?」って、ひとことで言ったら、「自然治癒力」なんだよね。

―なるほど、自然治癒力ってメカニズムが根底に動いていて、それの通りに白血球が動いていると?

DNA(遺伝子)ではない設計図が他にないとおかしいんだよ。だって、白血球は全部同じDNAなんだから。
リンパ球も好中球も同じDNAだよ。
同じ細胞からこれらはつくられている。

ところが、姿、形、役割が全く違う。
じゃあ、どこからその指令が来たんだろう?
それがわからない。脳が指令を出しているわけじゃないことが確かだよね。

―そうですね。

白血球たちは、一個の細胞から分化するだけの話だから、何かの溶液に浸かっていて、違う溶液に
浸かったら姿、形、役割が分かれるっていうことでもないわけだよね。
分化は同じ条件の一か所で起こっているんだから。

―何かの刺激があって、それがそれがきっかけに分化する、ということなんですね?

例えるなら、お風呂の中にたくさんの造血幹細胞をドバッと入れたとする。
そうすると、ちゃんと好中球とリンパ球に分かれる。
白血球の中で役割分担が起こって、それぞれの比率も決まってりうわけ。不思議だよね~。

―不思議ですね~。

これがあまりにも不思議で。これはもう、奇跡という言葉を当てはめる以外にない。
神業という言葉を当てはめるしか、言葉がない。
表現する言葉がない、っていうことになるわけよね。
たった一つの、寿命が10日間もあるかないかわからない、たった一つの細胞で、このレベルだよ。

そういう視点から見ると、いろんな細胞がつくられた人体って、凄いよね?
人体っていう物体だけでも凄すぎて、なんかもう、感動して涙が出るくらい凄いことなんだよ。

―どうしてそんな奇跡的なメカニズムで人体は働いているんでしょうね。

誰に頼まれたわけでもなくね。(もしかしたら何かに命令されているかもしれないけど。)
細胞はただ目的を果たすために、役割を果たすためにそこにいるだけなんだよね。
何の利害もなく、役割を果たすためにその姿になった、っていうこと。
それが全細胞に言えるんだから。だって、受精卵って1個だもん。

―そうですよね、全部1個から始まったんですよね。

全てひとつから始まってる。ただ分裂増殖しただけなら、腫瘍だよ、人体は(笑)。

―塊ですね(笑)

受精卵をただ大きくしただけなら、これは、生命だとしても、人間ではない。
それが人間になるためには、ありとあらゆる細胞に分化し続けなければいけない。

発生学の仕組みも面白いんだけど、その中でも私が凄いと思うことがあってね。
手をつくる時に、最初は丸いうちわみたいな形なんだよ。
で、ある部分の細胞が死滅するの。細胞が「おれ、死ぬ」って言って、死ぬんだよ。
そうすると割れ目ができて指ができるの。

―ほぉ~。指は生えて伸びるんじゃなくて、水かきの部分を捨てるようにしてできるんですね。

「あれ、ちょっとなんか、おれ、ここに居たらダメなんじゃない?」みたいな(笑)。
「あ~、おれ、死ぬ役割だったんだ!じゃあな~!あとのみんな、指つくってくれよ~!」って(笑)。
指をつくるために間の細胞が死んで、指が分かれる。

―はぁ~、凄いですね!

何が凄いって、死ぬやつがいるって凄い。「おれ、死ぬわ」って。

―今から生命として発生するところなのに。そんなにあっけなく死んでいくんですね。

そう、何にも考えずに。一旦、作られたけれど、この場所に自分はもう要らないんだ、
っていうことを理解して、自ら行動する状態ですよ。凄い!

―凄いチームプレーですね!

そう。そうやって人体は出来上がるんだよ。役割の中に死があるということなんだね。
生命誕生のためには、死を包括していなければならない。
死を受け入れない限り、生が成立しない。人間は生まれる時からそうなっている。

(次回へつづく)