Dr.が薦める自立健康のススメ

安眠を探る Part 2

「眠り」は体の成長と 修理をする時間

昔、眠らないとどうなるかを実験した人がいました。どうなったかというと1週間ほどで精神に破綻をきたしてしまったそうです。恐らく最終的には死んでしまうであろうかと。睡眠は生きていく上で欠かせない行為なのです。
なぜ人生の1/4から1/3の時間をも使って寝なければならないのでしょうか。いったい、眠っている間に何をしているのでしょうか?

それは成長と修理です。赤ん坊は1日の殆どを眠り、「寝る子は育つ」は正しいです。毎日の激しい細胞分裂で身体を大きくすることに注力するためには成長ホルモンと共に長い睡眠が必要なのです。

加齢と共に睡眠時間は短くなり、老年には5〜6時間で十分となります。5時間ほどの睡眠で目が覚めると「もう歳だ」と思うでしょうが、そういうシステムだと思えばいいし、長く寝なければならないほどの疲労をしていないのです。
農家の方で日中動き続けているご高齢の方は早寝早起きで睡眠時間は6時間以上だったりもします。
私も病院の当直で徹夜明けの日の夜には10時間くらい寝ていましたので、必要に応じた眠りが必要なのだと思います。
ですから、何時間眠らなければならないという決まり事は無く、疲れが取れれば良いのです。
短い睡眠で元気であれば、その時間で修理完了だと身体は判断したと言う事です。
睡眠は成長と体の修理を行う大切な時間
睡眠は成長と体の修理を行う大切な時間

質の良い睡眠を

あと大切なことは質の良い睡眠をとることです。「夜、ちゃんと眠れません」という方がおられましたが、よくよくお話しを聞くと3時間ほど昼寝をされていることが分かりました。

笑い話のようですが実話であり、生活習慣を見直すことも大切です。食後に昼寝をするならば、30分以内にして下さい。
食後に眠くなったのであれば食べ過ぎだと思って下さい。若い方々は何処ででも眠る特技を持っていますが、一般成人は、睡眠を促す物質が日中の肉体的活動によって溜まっていくと言われています。
机の前で仕事をしている方は特に身体を動かして睡眠物質を溜めましょう。

寝不足と不眠症は違うことも知りましょう。寝不足とは、眠いのに眠る時間がない状態であり、寝たくても眠れない状態を不眠症といいます。不眠の方は、眠くなるまで起きていると言う事も一つの手段だと思います。
眠くなるまで意地でも寝ず、根性で次の夜まで待つのです。時差ぼけ解消の方法と同じです。
交感神経がONだと安眠しにくい
交感神経がONだと安眠しにくい
不眠の方の多くは精神的に過度のストレスを抱えています。
常に仕事が頭から離れなかったり、常に心配事があれば交感神経が常時ONであり、常に戦闘状態だと言う事です。
いつ敵に襲われるか分からない状態では安眠ができません。
交感神経緊張状態が続いて安眠が出来ず、修理不完全のまま朝を迎え、また壊れて帰ってきても修理不十分で
また朝を迎え、結局は身体が故障し仕事への影響が出るという悪循環に陥ります。
遠足を翌日に控えた子供が早起きなのも同様ですが、不安と高揚は覚醒後の気分が違いますね。
 

22時~2時が「成長」「修理」の黄金時間

成長ホルモンは22:00〜2:00が分泌のピーク
成長ホルモンは22:00〜2:00が分泌のピーク
睡眠に於ける修理は「脳」と「身体」の両方を完結しなければなりません。
入眠直後の3時間が深い眠り(ノンレム睡眠)で脳の休息と修理を行っているので最も重要です。
その後、徐々に眠りは浅くなり(夢を見るレム睡眠)、主に身体の修理を行っています。この修理に必要な物質が成長ホルモンであり、22時から午前2時が分泌のピークとなります。少なくとも午前零時を越えないように、夜更かしは程々にした方が良いのです。

ですから、眠って修理に専念しなければならないのに消化吸収やアルコールの解毒などという余計な仕事」をさせてはいけないのです。
だから寝る前の食事やお酒は控えた方が良いと言われるのです。
寝酒をしないと眠れないという方がおられますが、寝酒で鼾が大きくなるのであれば、それは眠っているのでは無くて単に意識を失っているのです。深酒の後の朝に身体がだるいのはその為です。お酒に頼らないようなストレス発散方法を考えて下さい。

「安眠」にイイこと悪いこと

夜の眠りについて大切なことは、睡眠を誘導する脳内物質であるメラトニンを分泌させることが重要です。眼の網膜に僅かでも光が入るとメラトニンの分泌は止まるか減ります。天井の豆電球でも駄目ですし、雨戸やカーテンの隙間から顔に光が当たってはいけません。基本は真っ暗闇であり、豆電球なら間接照明にして下さい。起床後は逆に思い切り明るい朝日を眼に入れて覚醒を促しましょう。

それと、眠る前に脳を興奮させることは避けましょう。アクション映画やホラー映画はいけません。
修学旅行の夜に眠れないのも興奮しているからです。また、コンビニやスーパーなどで強い光を浴びないようにしましょう。
コーヒーやお茶などのカフェインを摂り入れて寝ないようにしましょう。寝る前のお茶は番茶などの茶色いお茶にするとカフェインは殆どありません。喫煙は脳が興奮するので避けましょう。

入浴により体温を上げると一時的に脳は興奮しますが、1~2時間して体温が下がってくると眠気を誘うことも分かっています。

寝る前に「こうすると眠れる」という事があれば実践して下さい。アロマポッドで香りを楽しみつつ眠るとか、歌詞の無いリラックスできる音楽をかけながら眠るとか(要、切タイマー)、こだわりの枕とか、ベッドとか、哲学書を読むなど色々あるでしょう。それはお任せします。

睡眠に関しても単純ではありませんね。上記の事を踏まえて、各個人で眠りの儀式を確立して良い睡眠を手に入れて下さい。
■健康生活宣言14号に掲載
医学博士 田中 佳 氏
昭和60年に東海大学医学部卒業後、同大学附属病院脳神経外科助手を経て、市中病院で急性期医療に長年携わる。脳神経外科学会および抗加齢医学会の専門医となり、悪性脳腫瘍に関する研究で医学博士を取得。
現在は、予防医学、教育講演活動、執筆活動に取り組んでいる。
主な著書「健康自立力」「続・健康自立力」(メタモル出版)、「健康の原点は食と腸にある」(きれい・ねっと)
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